今まで医療費控除の手続きをした事がある方はご存知だと思いますが、医療費控除を申告する際は一年分の医療費の領収書を整理して提出しなければいけない為、非常に手間がかかっていました。
ですが、2017年分の医療費控除の申告(2018年に行う確定申告)からは領収書の提出が不要となり、代わりに医療費控除の明細書を提出することになります。
大量の領収書をまとめて提出する必要がなくなり、数枚の用紙の提出だけで済むようになります。ここでは新しい医療費控除の申請方法と、注意点をご紹介しています。
領収書の代わりになる医療費控除の明細書とは?
医療費控除の明細書とは今までの医療費控除の申請の際、領収書と一緒に提出していた書類とほぼ同じもので、医療を受けた人の名前、支払い先の医療機関、支払った金額、保険等で補てんされる金額を記入する書類です。
以前のフォームとの変更点は医療費の区分のチェック項目が追加となっています。
「診療・治療費」「介護保険サービス」「医薬品購入」「その他の医療費」のいずれかにレ点を入れる形式となります。
医療費控除の明細書を記入しなくていいケース
健康保険組合などから「医療費のお知らせ」や「医療費通知書」などの書類が届いて手元にある場合、それを添付する事により医療費控除の明細書の記入を省略する事ができます。
しかし、医療費のお知らせに記載された金額以外に支払った医療費がある場合は、医療費控除の明細書へ記入が必要になるので注意が必要です。
また、医療費のお知らせには全ての医療費が記載されていない場合もあるので、実際に保管してある領収書と照らし合わせる必要があります。
「医療費のお知らせ」とは?
各医療機関では保険証を提示する事により、医療費は自己負担分のみの支払いとなります。
そして実際に自分が支払った金額がいくらなのか把握するには過去の領収書を全て見返し、自己負担分の金額を合算する必要があるので、非常に手間がかかります。
これをまとめて、一目で確認できるように健康保険組合などがその期間に支払った医療費の明細を書式化し、被保険者宛に郵送してくるものが「医療費のお知らせ」(加入している保険先によっては「医療費通知書」など別の呼び方もあります。)です。
元々の目的は、被保険者に対してまとまった通知をする事で医療費のコスト意識の喚起を促し、悪化した健康保険組合連合の財政を再建しようとする為の施策だったものです。
領収書は5年間保管が必要
領収書の提出は不要となり、医療費控除の明細書のみの提出となる訳ですが、申告が終わったら医療費の領収書を全て処分していい訳ではありません。
もし医療費控除の明細書に記入した医療費に関して、税務署から領収書の提示、提出を要求された場合、もれなく対応する必要がある為、医療費の領収書は5年間保管しておくよう義務付けられています。
「医療費のお知らせ」等を添付した分の領収書に関しては保管する必要はありませんが、別の領収書まで処分してしまう可能性もあるので全て保管しておく方が良いでしょう。
2020年分の確定申告から完全切替
2020年分からは、医療費控除の申告の方法が新しい方法に完全に切り替わる事になり、2017年から2019年分は新しい医療費控除の明細書のみの提出と、今まで通り領収書の添付のどちらでも申告は可能です。
新しい申告方法で医療費控除の提出をし、事前に慣れておくか、自宅で5年間も領収書を保管したくなければ従来の方法で領収書を提出してしまっても良いでしょう。
毎年医療費控除の申告をしている方は、5年間分の領収書が自宅にある訳なので、かなりの量になってしまいます。
結局のところ、確定申告は楽になるの?
まず医療費控除の明細書を作成しなければいけない時点で今まで通り領収書と照らし合わせながら記入、入力が必要となります。
また、健康保険組合などから送られる「医療費のお知らせ」を添付する際は明細書の作成が省略されますが、医療費の漏れがないか、それ以外の医療費を確認する為には結局実際の領収書と照らし合わせる必要があります。
一番のポイントとなるのが領収書を提出しなくていいというところ。これは提出する側にとっては若干楽にはなりますが、大量の領収書を自宅に保管する事になってしまいます。
結果メリットもあればデメリットもあるので、「少しだけ楽になりそう」といったところですね。
医療費控除は忘れずに申告しましょう。